macross個人的創作話 「ON THE SNOW」

ご注意::::::::::::::::::::::::::::::

この文章は「超時空要塞マクロス」をベースとした”二次創作”です。

原作やキャラクターのイメージを壊したくない方はご遠慮下さい。
また、作者の力量をご理解いただいたうえで♪

超~短いお話です。
どうぞ♪


★2008.9 追記★ 本文のカットはゆば様からいただきました~~!
ベリーベリーサンキュウ053.gifゆばさん!053.gif 


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ON THE SNOW (somebody loves me) 



宇宙を漂流していると、天気のことは気にならない。
雨が降らなければ、雲も無い。言うなれば、いつも、晴れ。
降るほどの星は見られても、濃紺の空が広がるだけ。
そう思うと、地球は、面白い。

適度な温度に調整された艦内から出てきた輝は、外気の冷たさに一瞬震え上がり、首の緑色のマフラーをグルグルと巻きつけなおした。着慣れないコートは――朝もそう思ったけど――体に馴染まなかった。

『このクセっ毛はしょうがないとして・・・』
『セーター、ネイビーの方が良かったかも・・・。』

いつもはそんな風に思ったりする彼ではない。
輝の普段は制服、戦闘服にスウェットのローテーションがほとんどで、たまの非番に私服を着るくらい。
部屋で過ごしてしまえば、Tシャツにパンツのままだったりする。
ただ、今日はちょっと特別の・・・。

「・・・あっ・・・・雪?」

ずいぶん冷えると思った。白い息の前に雪がちらついた。輝は道を急いだ。

・・・ホワイト・バレンタインなんて出来すぎているな。

それでも、想いの相手と過ごす日がまれなお天気になるなんて、なにかしら縁を感じてしまう。
彼女の気持ちはもう確かめてある。
緊急事態の中の・・・少々余裕のないプロポーズだったけれど、濃厚な時間の中で結ばれたということだ。

そして、クリスマスにはありったけの気持ちを込めて、婚約指輪を渡した。

差し出すと彼女は驚き、頬を染め、涙を浮かべた。

慌てた手で、彼女の指にはめてみたのだが。

『わ、ぶかぶかだったか!』
『ホントね・・・』
『ごめん・・・。これでも、自信あったんだけどな。』
『ううん。この大きさ、なんだか・・・あなたのおおらかさが表れてるみたい。』
彼女・・・未沙は、いつも愛の言葉はなぜか控えめ。だけど、相手を認める言葉は惜しみない。
照れくさくなった輝は言葉をつづけた。
『でも、ちゃんと指に合うようにちゃんと直そう?』
『え?・・・ふふふっ!輝ったら・・・!』
輝をよそに、未沙は指輪を揺らしながら笑いだした。
『指輪は愛する人とのつながっているという証よ。それなのに、さすがにぶかぶかだと大切な絆もどうかって思うけど。』
『・・・そりゃそうだ。』
なんでいつもオレはこうなんだろうと。輝は頭をかいた。
『・・・でも、直すよりいい方法があるの』
『いい方法?』
『まずコレはお返しします。』
『えっ?どうしてっ・・・!』
・・・失敗なのか??輝は一瞬にして頭に血が上り、顔が熱くなった。
未沙が上目づかいで覗き込む。
『・・・で、替わりに二人の指輪を手に入れるの。』
『え・・・それは・・・』『・・・も、もしかして』
『そう、二人の結婚指輪を買いましょう。こんな状況で貨幣価値は不安定だけど・・・ずい分高かったんでしょ、これ・・・』
未沙は指輪を光にかざした。
透明な石は期待にこたえるかのように信じられないほど光った。
もしも自分が気障な男だったならば、いますぐその美しい指を絶賛したと思う。

『・・・もらってほしいんだ。』
指輪ごと、彼女の手を自分の熱くなった手でくるんだ。
『・・・・ありがとう。ありがとうを何回言えばいいのってくらい感謝してる。でも・・・』
重なった手に視線を向けたまま、未沙はほんのりと微笑んだ。

・・・遠慮をつづける彼女を説得し、最後に受け取ると言ってくれた。
エンゲージリングが彼女のサイズになるころに、バレンタイン・デーもやってきた。

宝石店の前に来て、足の雪を軽く掃い、店へ入った。

再会した指輪はこんもりしたクッションに鎮座している。確認を終えると、お店の人が硬い蓋をおごそかに閉じた。
包装を待つ間・・・。ヒマなもので、こんなときの人間がどんな顔をしているのかと思い、思わず脇の鏡を覗き込む・・・ノーコメント。
これはやばい。誰かが言う、エース・パイロットの面目なんてまるで、無い。



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                         illustration by yuba




紫色の厚みあるリボンでデコレーションされた小さな箱を、人の良さそうな女性店員が渡してくれた。店を出るとき、「婚約者の方によろしくね」と言った。

外は雪が積もりだし、街はやわらかに丸みを帯びている。
コートの裾に雪が舞う。
彼女の優しさみたいに、そっと。
白く柔らかい頬を想った。

坂道を茶色のブーツで駆けのぼり、冷たい街路樹を通り過ぎれば、あの店が見える。
きっと彼女はもう店にいて、紅茶の飲み頃を待っている。


(おわり)







あとがき:::::::::::::::::::::::::::::::

輝から未沙へのプロポーズ、ですが、私自身、バリエーションのひとつと思って書きました。
実際はきっと違うプロポーズがあったはずです。(注:架空人物、フィンクションだっちゅーの<懐)

バレンタインを目指して作ってたとき、いろいろなイメージが偶然にも重なり、このようなものが出来上がりました。

☆映画「ALWAYS 三丁目の夕日」
☆コメントくださる文豪・理沙さんの作品「メッセージ・リング」
☆文庫「マクロス・ラブストーリー」の表紙
☆エメラルドカットのダイヤモンド
☆温暖化がウソみたいなこの寒い冬


・・・あの戦後に、ダイヤなんて売ってるのかな?
お金のことも心配してるし、ロマンティックじゃなくてすみませぬ。
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by peppermint_y | 2002-08-03 17:00 | comic