macross個人的創作話 「アルティラの夕凪」-adjust-

お読みになる前に:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
このお話は「超時空要塞マクロス・愛おぼえていますか」
をベースとした”二次創作”です。
あの100年に一度のキスシーン、のその後を想定しています。
以下の方はお読みになるのをご遠慮下さい。

原作、キャラのイメージを壊したくない方・18歳未満の方・
大人向け(男女関係)の表現に嫌悪される方


以上、全てOK!な方は下記 More をクリックすると本文です。

☆★☆★無断転記はご容赦願います(念のため・・・)☆★☆★

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「アルティラの夕凪 -adjust-」



風の部屋で、生まれたままの姿になり、二人は抱き合った。
あられもない姿を互いで隠すかのように、それはまだすこしぎこちない。
反して肌はなめらかに吸いつき、同化するようだ。

輝は未沙の弾力を直にし、もっと深みへ進もうと探求心が湧き出す。
そしてそのまま罠に落ちたい・・・。
輝は未沙の膝をゆっくり解いてその間に自分の身を置いた。
唇はなめらかに降りて臍のくぼみで戯れる。いたずらのあと、輝は隠し場所にたどりつき、顔を近づけそっと唇を寄せた。
「あっ・・・。」
未沙は新たな体感に弱った声を上げる。
目をつぶって被りを振り、押し寄せるものに耐えるが、裏腹に、自身の身体も揺らぎ始めていた。歓びがいつの間にか未沙を超越していた。

輝は、彼女も自分と同じなんだ、と思った。
輝は未沙の恐怖も壊れ始めていると確信すると、未沙の真正面に戻り、汗をまとった彼女の前髪を掻き分けて、最後の審判を委ねるのだった。
「?・・・」
輝の瞳の問いかけに、未沙には拒む理由がもうどこにも存在していなかった。体の芯もすっかりほどけてしまった。
声に出さず頷いた。
輝は孕んだものでかき分けて、未沙の暗い入口にあわせた。彼女の負担をわずかにでも軽減しようと、顔を見つめ、ゆっくり慎重に沈めていく。そう思いつつも壁面はなめらかでまやかしのようだ。歓待の雫が溢れているものの、途中、進入を抵抗するものを感じ、ひるみそうになる。
汗で重くなった前髪がうっとおしく邪魔する。
それよりもの敵は、思うまま乱れてしまいそうな自分自身だった。

輝が進むにつれ未沙は眉を寄せ、肩をふるわせた。
彼はこの慰めが一瞬解からなくなる。護りたい相手であったはずなのにあきらかに自分の与えたものに耐えている。
「・・・大丈夫?」
「・・・うん・・・・・・。」
「・・・本当に?」
「・・・・・・。」
未沙がうっすら目を開けそっとうなずき、おぼろげな笑顔を作った。
息のつまりでも本心からでないと分かったが、その気遣いが輝を奮い立たせた。
頬にやさしくキスした。
輝はついに未沙に全てをあずけた。

未沙は焼けつくような痛みを覚えながら、瞼の中では夜空の星を見ていた。
じんわりと頭の上から爪先まで、しびれが回っているが心は満ち足りていた。それを伝えようと、たどたどしく彼の背中に腕を回した。
彼が多少とも感じている罪をやわらげようと。マリアのように包み込もうと

未沙の瞳からひとしずく涙が流れた。それを追うように輝の額から汗が落ちた。
二つの水滴は未沙の頬を伝い、柔らかな髪に吸収されていった。

・・・今こそ二人はひとつになった。
テーブルの上で手を取り合い、心通わせた瞬間、真摯にこうなる事を望んでいたのだ。
二人さえほんとうの理由は知らない。全てはゆかりのすべ・・・。

それから・・・身体は海中の渦のようにうねり、動いた。
その終わりを声をあげ、天に乞うて抵抗したが、なすすべもなく、欲望は水の泡のように浄化されてしまった。


                           ***


二人、空を仰いだまま身体を横たえていた。
味わったことの無い疲労と充足が体中を拘束して、長いような短いようなひと時はひとまず置き去りになっている。

輝は浅い眠りから目を覚ました。未沙はまだ微かな寝息を立てている。
輝は身体を起こし、眠る未沙の顔をしばらく見ていた。
こんな風にじっくり寝顔をみるのはこの生活で初めてだった。今までも少しは興味をそそらないでもなかったが、”上官”の眠る姿を見たなんて、気づかれでもしたらと自然に心で制約していた。
その、彼女の眠る表情はあっけないほど無防備だった。
未沙のことは少し前までしっかりした年上の女性だと思っていたが、その表情は惹かれた未沙と同じだけ愛おしかった。
鼻先にあるなめらかな肩・・・指を触れてみるとひんやり冷たい。このままだとまた風邪でも引きかねない。
この生活で寝具として使っているパラシュートを取りに行こうと思った。
安らかな寝息を途絶えさせてしまうのをためらって、そうっと自分の着ていたものを手繰り寄せた。
Tシャツをかぶり、アンダースーツの腕を腰で結びながら“すぐ戻るから・・・”とつぶやいた。

外に出ると、日が傾き、空の色が変わり始めていた。
汗をかいた首筋を潮風がぬぐっていく。
思いの外、足取りは軽い。自然と駆け出したくなった。
地平線の向こうに現れるものを待ちわびていたが、今、それはどうでもいいことに思えてくる。

・・・柔らかい感触がまだこの胸に残っている。
幻じゃないんだ、と肯定する自分はなんか浮ついているな、と思った。口元をほころばせ、走りながら体をひと回りさせた。

バルキリーに積んだパラシュートをとり、戻ろうと機体から降りていると、廃墟から歩いてくる人影があった。未沙だった。
輝は急いで降り、駆け寄った。未沙も輝の姿を認めると走りだした。
辿り着いた未沙は輝を見て、ほほえみをつくるとうつむきながら言った。
「夢であなたが去っていく後姿を見たわ・・・」
「夢?」
「いつも見てたライバーの夢に似てた・・・」
いつかの夜、輝は未沙から『ライバー』という名を知らされていた。
輝は手のパラシュートを放り出し、抱きしめた。

                           *    

「地球へ着いたばかりのときは夕日が恨めしくて」
渚で水平線を見つめた未沙が言った。
「また夜がくるのかと不安になったけど。」
引き潮になり、海に散った誰かの・・・朽ち果て錆びついたバルキリーが姿をあらわにしている。
夕陽を遮るものはなく、二人の顔に容赦なく錆びたオレンジ色が吹きつけた。
ひるむことなく二人は波の際にたたずんだ。
「明かりが消えた後もあなたと言葉を交わすようになって・・・。安心して眠りにつける日がやってきたの」
さっきまで自分を打ちのめしていた暗い影はどこにも見当たらない。
未沙は風に流れる髪を手でまとめた。
「僕も同じさ。なんでこんなことになったんだってヤケになりそうなときもあったけど」
「・・・。」
「最初は正直、この地球に一人飛ばされていたほうがマシだと思った。一人には慣れてたしね。」
波が二人の足元をすくっていく。
「地球の全滅を知って、テントを作ったり、飲み水を確保したり、魚を採って分けて食べたり、きみが寝込んだとき、ああ、ふたりでよかったんだって」
「それを見て、本当に生きてぬこうとしているのはあなただって思ってたのよ。」
「そういう状況に慣れていただけさ。」
二人の足元に戦い散った兵士のヘルメットが波にもてあそばれている。
輝は夕日をまっすぐに見た。
「・・・マクロスが帰ってくることを信じられる?」
「ええ」
未沙が微笑んだ。
「きっと現れるわ。」
「うん。」
太陽が海の中へ沈みかけ、二人の影はさらに長く砂浜を這う。
「・・・ねえ・・・。」
未沙が胸の前で手を合わせ振り向いた。
「今夜、あの場所に泊まらない?」
「あの・・・異星人の家?」
「そう、テント、ではなくて」
「・・・いいけど、今夜、雨は大丈夫かなあ」
「そうね。降れば雨漏りは確実だものね・・・。でも、雲はないわ、きっと平気」
「うん。そうと決まったら暗くなる前に準備をしよう。」
輝がパラシュートを担いだ。そのまま肩に上げ弾けるように波打ち際から走っていった。
そんな輝の後姿を見ながら未沙はあとをゆっくり歩き出した。

その夜、二人はもう一度同じ場所で身体を擦り合わせた。
昼間の想いを一つ一つ確認するかのように、さらに深く強く求め合った。
星がまたたく下で我を忘れ、岩に打ちつける波のように、乾いた砂浜のように。
紡いだ証に二人の奏でるメロディが宇宙に響いた。

ごわついたパラシュートの繭の中で肩を寄せ合う。
ほぼ満月に近い夜、部屋の中へも光が差し込んでいる。

「ここが・・・異星人が文化を取り戻そうとした場所か。」
「愛を取り戻そうとした場所・・・。」
「戦ってばかりの男と女。それではいけないと気がついた人々がこの文明を作った」
「そう。コンピューターは私たちにそう告げていたわ。」
「でも男と女に分かれて戦いを始める理由ってなんだったんだろう。」
「そうね・・・。」
未沙がパラシュートを引き寄せて肩を沈めた。
「もしかしたら・・・相手を思う孤独に耐えられなくなった、とか。」
「・・・孤独?」
「愛情や恋愛はいつも自分の思い通りに満たされるものではないわ。そんな空しさや寂しさを抱いて生きるより、わずらわしい感情を一切排除してひとりでも生きていけることを選び・・・ってこれは今思いついたこと。」
「・・・ふうん。」
輝は遠い夜空に視線を移した。
「やだ、ちょっとセンチメンタルなこと言っちゃったわね。」
「・・・それにすら気がつかない人間とどっちが不幸だろう」
「え?」
「僕は自覚さえなかったのかもな。」
「・・・。」
「いつもひとりでいることがあたり前で・・・」「・・・この地球で初めて孤独を知ったのかもしれない。」
未沙の胸が静かにきしんだ。

「・・・ねえ」
「なあに?」
「・・・異星人って、オレ達に似てない」
「私達?・・・ええ、わかるわ。」
「マクロスにいたころはケンカばっかり。お互い、やることなすこと気に入らなくて」
「そうね・・・ふふふ。初対面から、ね。」
未沙はゆっくり顔を向け、輝の横顔を見た。
「・・・それが今・・・こんなそばにいて・・・」
言った後、輝は急に照れくさくなり、上を向いていてよかったと思った。
「・・・ええ・・・。」
未沙は部屋を見渡した。
「・・・ここはそういう力が宿る場所なのかしら。」

二人、真上の見ると月が高く上がっている。
未沙は、昨日の月よりも丸みを帯びている、と思った。
星は控えめな光ではあるが、空に圧倒的な数をひきしめている。
「月は昔からなんにも、変わってないんだよなあ。」
「昔の人もおんなじ月を見てたのよね。」
輝は両手を空へ伸ばし、光に手をかざした。そして月を指で丸く囲った。
「なあに?それ」
未沙はくすくす笑い始めた。
「はははっ・・・。」
輝自身も思わずのしぐさが子供っぽいと気づき、つられて笑った。

未沙は少し前まで男性と過ごすことが愉しく安心感をもたらすものだと知らなければ、理解をしようとも思わなかった。それが今、フォッカーの言っていたことが、なんとなく、判る。
未沙は、輝がかけがえのない人物になるのでは、という予感をもった。

照れ笑いしながら、輝は頭の下にした腕のわきから未沙の横顔を見た。
光に照らされ、肌の白さが際立っていた。
月と同じくらいつややかだ、と思った。
そしてこんな風に過ごすのは初めてなのにパラシュートの中に伝う未沙のぬくもりが懐かしかった。

温かい空気はその存在を恋しくさせて、輝の中でだんだんと甘いとぐろが巻かれていた。
細やかに笑い続ける未沙のやわらかい声がエッセンスとなって期待は膨らんでいった。
輝は腕を立てて体を起こし、未沙の笑顔を覗き込んだ。
彼女の瞳の答え次第ではまた口づけから始めたいと思った。

・・・浅い眠りは朝霧の轟音によって覚まされることを二人はまだ知らない。
それが輝と未沙の戻るべき場所、マクロスだということも。
心地よい疲れに浸る二人はそれよりもしあわせな夢を見ていた、のかもしれない。



<おわり>
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by peppermint_y | 2002-08-02 17:00 | comic