突貫もいいとこ、連投で~す。
そうなんです、ぼちぼちとSSを作っておりました。 「早瀬未沙、ゆれる女心を演じます」 未沙にあざといコピーを吐かせたこの「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」の撮影現場を設定にしました。 いやもう、本当はクランクアップしてないとおかしいですね。 リンク先の『桜陰堂書店』さんに「祇園祭の牽牛と織女」という風情あるSSがございますが、こちらからヒントを頂戴して作りました。が、すてきな内容は引き継がず、薄~~いペラッペラのハムカツみたいなんで、ビール片手にでもつまんでいただけるとさいわいです。 こういう軽いのが長いと無粋と思ったんですが、結局長くなっちゃいまして、もったいないじゃないが普段なかなかコンスタントにアップできないんで今回初めて別日送信にしてみようかと思います。 今週中に【後編】をアップしますので、もし気になったら見に来てくださいね(^^;) 言うまでもございませんが、作中の設定は映画本編とは100%別物であり(もしか1%くらいは離れ撃ちしているかもしれませんが)まったく裏づけのないものとご了承くださいね、といちおうv キャラクターがダブっていますので分かりにくかったらスミマソ。 では、またのちほど~~~~。 「撮影現場へようこそ。 ~making of “Do You Remember Love?”~」 【前編】 1984年某日。ここはハリウッドのフニバーサル・スタジオ。 現在、今夏ロードショー予定の「超時空要塞マクロス/愛の通信」(仮題)の撮影が行われています。 今日、その現場にテレビシリーズの一条輝と早瀬未沙が陣中見舞いにやってきました。 二人は初めての映画撮影現場ということで、興奮しっぱなしのようです。 「凄いわ~これがアメリカなのね!」 「やっぱりウズマサとは違うな~」 「あのクレーン見て!高くて先端が見えないくらい」 「そうだよ、だってテレビ・スタジオのハリボテとは違うんだから・・・」 輝と未沙はクチをあけながら感心していると懐かしい声が二人を名を呼んだ。 「ヒカルー!ミサさん!」 そう駆け寄ってきたのは、この大作を背負って立つ、主演女優のリン・ミンメイだった。 「お久しぶり、ミンメイさん。凄いわね、こんなところで撮影なんて」 「ええ。広くっていつも迷っちゃうの」 「元気そうだね。撮影は順調?」 「うん、トレーラー生活も快適よ。撮影の方は・・・監督が凝り性でね、実は結構押してるのよ。公開日もズレるかもって・・・あ、あそこに歩いてるのが監督」 スピルバーグ、はたまた、ルーカスよろしくとキャップとサングラスで素顔を覆ってるが、ズボンのウエストから下着が出ていた(某アニメ雑誌記事参照)。 一見、そんな男性からロマンでファンタジーな『マクロス』が誕生するとは思うまい。 「あ、お二人には映画出演の輝と未沙さんを紹介するわ!」 ミンメイが二人を撮影所の奥へとうながした。 「ええー、自分と同じ役の人と会うなんて、緊張するわ~」 「どんなヤツがオレの役をやるんだろ!」 輝と未沙はドキドキ高鳴る胸を押さえながらミンメイの後に続いた。 「お邪魔しま~す・・・」 「は、初めまして・・・」 「やあ・・・」 映画版の輝が手を差し出した。 「ようこそいらっしゃいました」 映画版の未沙が二人に声をかけた。 「ど、どうも~」 お互いに照れながら、それぞれ輝と輝、未沙と未沙で握手をする。 次は交互にだ。 映画の未沙を前に、TV版の未沙はうっとりとした。 「・・・やっぱりおキレイですね、さすが大スクリーンに耐えられる美貌だわ・・・」 「いえそれほどでも。そういう未沙さんだって、回が進むたびにだんだんキレイになられて・・・」 映画版の未沙が目をキラキラさせて答える。 「いいえ、もうっ、“オバン”だの“ネクラ”だの“鬼”だの言われてっ!セリフだからとなんとか耐えましたけど、実はいつ降板しようかと思ってしましたの・・・うっうっ・・・!」 「そこはつらいところよね。新しいヒロイン像における精神的犠牲者だわ」 「あのころパワハラなんて言葉も無かったし、ス〇―プロの回なんてそりゃもう、タコかヒラメかって感じですよ、あんな屈辱は生きてきて初めてですっ!」 「同情しますわ・・・でも、あるアニメ雑誌の女性キャラクターNO.1に輝いたように、意味のある挑戦だったと思うわ」 TVの未沙をひたすら映画版の未沙がなぐさめることになっていた。 一方、こちらは輝たち。 「あ~どうも~、よろしく~、一条でーす」 「どうも~こちらも一条です」 「――似てなくも無いけど、映画のキミってなんかカッコいいっすねえ・・・確か放送終了時のボクより若いんだよね」 「ああ、18だよ」 キャリアはあるがあどけない輝の問いかけに、ちょっぴり濃ゆい輝が答えている。 「映画の撮影でタイヘンなこととかある?」 「大変ってほどじゃないけど、リアリティを求められて6頭身にされちゃった」 「エッ、あ、確かに。ちょっと顔デカいかも・・・でも男前だからいいんじゃない?」 「そ、そうかな・・・エヘッ」 「イイ体してるけど、やっぱり鍛えてるんスか?」 「いや、それほどでもないんだけど、衣裳のこのボディスーツ、ぴっちりしてるからハラ出てんの、カッコ悪いし」 「それはそれは・・・」 そう言いながら、TV版の輝はそっとお腹を引っ込めた。 「オレ、そのセーラー服みたいな衣裳着るんだって期待してたんだけど」 「オレもスカルの入ったソレ、着てみたいんだけど」 「じゃ、あとで交換してみる?!」 「うん!」 わはははは・・・と笑いあい、いたってノーテンキだ。 「はーい、みなさん!」 「そ、その声は・・・!」 4チャンネルや10チャンネルや・・・8チャンネルや国営放送でも聞き覚えのあるその声に振り返ると、あのクローディア・ラサールが立っていた。 「今、マックスくんが到着したらしいわよ~」 「それよりも・・・クローディア・・・さん!」 TVの未沙が思わず「さん」とつけたのは、映画版のクローディアだったからだ。 未沙は駆け寄り、 「映画のあなたもすごくステキね。あの、クローディアから・・・ああ、ややこしいけど・・・TVのクローディアが応援にいけないけど、よろしく、とのことです」 と感激と一緒にクローディアの伝言を告げた。 「ありがと。こちらもよろしくと伝えて。それにしてもあなたたちもよく来てくれたわね!」 「初めまして、クローディアさん」 TV輝がペコリとあいさつする。 「もしかして撮影はもう終わりなんですか?」 「ええ、今日は先にあがらせてもらうわ」 私服のコート姿も美しかった。 「もしかして・・・」 と、輝は’80な感じで親指を出した。 「ええ。このあとロイとデート。彼、いまごろシャワーで必死に血のりを洗い流しているわよ」 「ナマナマしい戦死シーンだものね・・・」 劇場の未沙が眉をひそめた。 「じゃ、私、行くわ。みんなゆっくりしていってね!」 そう言ってウィンクを残し、コートを翻し去っていくクローディアだった。 「かっこいいなあ・・・」 TV輝はヒュ~と口を鳴らした。 「シリーズの彼女も素敵だけど、映画の彼女は抜群ね。次回作が決まっていて、009のボンド・ガール役をやるらしいのよ」 TV未沙が豆知識を披露する。 「なんでそんなこと知ってるの?」 「だって毎月、『ロードショー』読んでるもん!」 「はいはい・・・フォッカー先輩とも、ぜひ会いたいな」 そんなところにクローディアと入れ違いにやってきたのはマックスだった。 「ハーイ!輝クン」 「おお、マックスくんだ!TVの一条です、よろしく」 「アレ、他人行儀じゃない?遅れちゃったのは悪かったけど、他のご一行も一緒だよ」 「・・・ってことは、コレ、いつものマックス?」 未沙も目の前のマックスをしげしげと見た。 「そうなんです。元から結構イケてたから、映画ではマイナーチェンジだよ。このボクと大して変わりないから、みなさんが間違えるのも無理もない」 髪を指で流しながらマックスが言う。 「で、こっちが映画版のマックスよ!」 打ち合わせから戻ってきたミンメイの後に、もうひとりマックスがいた。 「あ、新しいマックスか!今度こそ・・・初めまして」 TV輝は握手を求めた。 「これはこれはTVの主役さん、右手は武器を持ってないという証拠ですね・・・どうぞお見知りおきを。あとで妻のミリアも来ます」 マックスは余裕で手を出し、輝の握手を受けた。 「・・・やっぱりマックスは姿も声もかっこいいのね~」 ミンメイのその声に、未沙もうんうん、とうなづいた。 「いい男が巨大化するっていいわよねえ・・・」 またもミンメイのその声に、未沙もうんうん、とうなづいた。 「あれはネ、CGじゃなくて、ただのカメラワークだけなんですよ」 「ウッソー!!」 たいしたネタばれでもないのに、しきりに感心してみせる女子二人。 「で も さ っ !」 そこに輝が口を挟む。 「さっき設定を見せてもらったけど、なんか生意気な性格なんだって~?しかも婿養子だって~?評判落ちるんじゃな~い?」 脇役にジェラる主役の図。 しかし、もろともせずマックスは涼しい顔で、 「まあね、見かたによるかもしれませんね。でも、今回は磨きのかかった操縦テクニックを見て欲しいんです」 と言った。 ともすれば、未沙もミンメイも、その場にいたスタッフもうんうんとうなづいた。 輝二人はなんだか心が折れそうになった・・・。 「ミンメイ以外、オリジナル・キャストはグローバル艦長と柿崎に、カイフン、か」 輝が指を数えた。 「ええ。グローバル艦長は最初からアレンジは無視だったそうだし、柿崎くんは早く殺しすぎなんていって出番と映画出演を直談判したらしいわ・・・脚本が出来上がる前だったらしいけどね。カイフンさんもやっぱり髪を切る覚悟だから出して欲しいと言ったそうよ」 未沙の手元にはマル秘と書かれた1冊のノートらしきものがあった。 「カイフン、あのクソやろぶりを払拭したかったんだろな。でもあんな地味な役でよく納得したよ。あの役は一部、小〇哲哉をモデルにしてるとかしてないとか・・・」 「なんだか、危なっかしいわね・・・」 「ミンメイにも、未練あるとかないとか・・・?」 さあてどうなんだろうねーうふふ、と、輝と未沙は意外にミーハーであった。 「ねえ、キャストの衣裳代で一番お金をかかるのはゼントラーディ軍役なんですって」 「ああ、特殊メイク、か」 「外国人スタッフも大勢いるし、なにしろデザインも凝っているわ。ヘルレイザー(※)の上を行くかもね。ちょっとメイク室を覗いてみましょうか」 その扉には『ゼントラーディ軍楽屋―驚かないでね♥』と貼ってあった。 「こん・・・にちは・・・」 おずおずと二人が扉を開けると、リクライニング式のイスにのけぞるガウン姿の人があった。 「――ドナタかな?」 その人はメイクアップ・アーティストさんにパタパタとメイクされつづけけながらそう言った。 「あのお、TVシリーズの一条と・・・」 「早瀬です・・・」 「おお、これはプロトカルチャーのご両人。私はエキセドルです」 「エキセドルさんだったのか!」 「まあ!ご無沙汰しています」 「いやいやこちらこそ。噂には聞いてましたぞ、よく遠くまでいらっしゃいましたなあ」 輝も未沙も、エキセドルはゼントラ幹部の中では親しみやすくて好きだった。 「エキセドルさんは、TVも映画も出演されているんですよね」 「我輩、特殊メイクが大変なので、体力的にも断ろうと思ったのであるが、ブリタイ閣下がヤル気マンマンであるからして・・・そうなったら私も断るわけにはいくまい」 「そうだったんですか~!」 「入りは毎日、3時間前です」 エキセドルはそう言って指を3本出した。 「まあそんなに・・・!」 「恥ずかしいことに・・・メイク中は所用に困りますわい」 輝たちはやっぱり可愛いなこのヒト、と思った。 「――ねえ、このプヨプヨはなんでできてるんですか?」 輝はエキセドルのスライムみたいな奇妙な色の頭を指でつっついてみた。 「やわらかめのシリコンじゃよ。これをリモコンで動かす」 「ご自分で?」 「そうです」 「手はマントで隠れていますもんね~わからないですね~」 「映画撮影ではいろいろとご苦労されているようですね」 未沙がねぎらいの言葉をかける。 「いや、なに、やってみるとわれわれにとっては全て興味深いですな。しかも毎日ミンメイくんとも会えるし」 「そういえば、エキセドルさんもミンメイさんのファンでしたね」 「ええ。しかも聞いてください――この作品のオープニングは・・・なんと我々のアップからなんですぞ!」 なんとも満足そうなエキセドルの様子に、 「えー、主役を差し置いて、ですか!」 「まあ、うらやましいですわ!」 と、輝と未沙はすこし大げさにおどろいてみせた。 「――じゃ、あまりお邪魔しても悪いのでそろそろ行きます。撮影がんばってください、参謀」 輝は小さく敬礼した。 「膀胱炎に・・・気をつけてくださいね」 未沙は垂れたエキセドルの手握った。 「ありがとう。礼を申しますぞ、プロカのお二人」 「プロカ?!」 「ええ、プロトカルチャーの略ですが・・・いかがかな?」 輝たちは顔を見あわせ苦笑した。 ~ ☆ 【後編】へつづきます ☆~
by peppermint_y
| 2009-07-08 17:00
| anime
|
Comments(4)
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桜陰堂
at 2009-07-08 22:48
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おっ、コメディ風味になってる!!
peppermintさん、参考にして頂き、ありがとうございます。 クロディーアがボンド・ガールとか、マックスがアメりカ版マスオになる とか、 実に斬新な発想だ。(笑) エキセドルの頭がセルフ・ムービングってのも可笑しいし、3人の会話が 楽しいです。 でも、柿崎が直訴して決まった映画初出演。シナリオ見た、柿崎とマネージャー(居たら)の顔を想像してしまいました。(大笑い) 次回も楽しみにしています。 桜陰堂もね、コメディ書きたいんですよ、でも、いいネタが、全然浮ばなくて。
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理沙
at 2009-07-09 09:05
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わ~い!ヽ(´▽`)/
「映画版」のメイキングみたいで、たのし〰い♡ 続きが楽しみです。 …何だか、ゆばさん所の「お人形達」が展開しているみたいに感じた私を、どうかお許し下さいませ。m(__)m(笑)
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peppermint_y at 2009-07-09 23:46
桜陰堂さん
こちらからの「ごあいさつ」が逆転して申し訳ありません。 インスピレーションをありがとうございました! そうなんですよ~、読ませていただいたときにピンと来たのですが、まさしくピンだけだったので、なんとかシクシク作ってみましたが。 でも、趣向が、全然ちがくなっちゃいましたけど。 コメディ・・・ですかね~いやもう、なんか適当に作っちゃったっ。 後半は手直ししつつ、週末にはアップしたいと思います(^^) 柿崎にマネジャーww ああ、考えてもいなかったけど、彼もエキストラ出たがりのツラの厚いタイプだったりして(^^;) ボディガードは必要ないけどマネージメントは必要でしょうね。 ギャラだって出たとたん、全て食欲と〇欲に使い切らないとは限らないし(笑)
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peppermint_y at 2009-07-10 00:00
理沙さん
いつもありがとうございますvv そうなんですよ、まさに「メイキング」のつもりなんです~あータイトル変えようかな~。 ゆばさんたちのフェルト人形ですよねっ、ぜんぜんうれしいですが、あちらに悪いですよ~、あちらの劇場はもれなく面白いですしv 理沙さんはいつも真摯に作ってるのに、いつもくだらなくってめんぼくないvv 他愛ない話ですので、お暇だったらどうぞ(^^)
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